ゆるキャン△で描かれた優しさ
「今日は、なでしこのソロキャンプですから」
ゆるキャン△シーズン2のエピソード8を観た。
ソロキャンを続けるリンちゃんに影響されて、ついにソロキャンをすることにしたなでしこ。
しかし、ソロキャン当日、なでしこにラインを送っても既読にならず、電話をかけてもつながらない。
心配になったリンちゃんはなでしこのいるキャンプ場に向かう。
そこで見たのは、キャンプを通して仲良くなったであろう人達に手を振るなでしこの姿だった。
りんちゃんは、キャンプ場を去ろうとする。
そこに居合わせたなでしこの姉である桜さんに、どうするのか問われる。
「私も帰ります。今日は、なでしこのソロキャンですから」
すぐ会える距離にいるのに会わない優しさ。
私は某テレビ番組『はじめてのおつかい』を連想した。
子どもを成長させるため、母は心配な気持ちを押し殺して子どもに任せる。
そこで見せる子どもの頑張っている姿に、私たちは涙する。
しかし、はじめてのおつかいとゆるキャン△には決定的な違いがある。
それは、感動を売り出しているか否か、だ。
ゆるキャン△で発せられたリンちゃんのセリフは何気なく、さりげない。
さもそれが何ら特別なことではないかのように。
このさりげなく描かれる人の優しさに、私はゆるキャン△の真髄を見た。
決して感動を売り出してはいけないとは言わないし、はじめてのおつかいはもちろん素晴らしい番組である。
私が言いたかったのは、これほどの優しい友情がおそらくこの世には存在しているという喜びであり、そしてヒットコンテンツである、ゆるキャン△を通して描かれた意義の大きさである。
人が人を想い、一歩引く。一歩踏み出すのではなく。
こういう優しさが、もっと溢れる世の中になればいいなと切実に願う。
私は本当に素晴らしい作品に出会った。